電子書籍では代替できない資料「布の絵本」提供の現状と課題

※画像インデックスに使用している布の絵本は片山ゼミ3年生前川晴香による作品です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、図書館界は前例のない対応に追われてきた。この状況下において、非来館型のサービスが注目を浴びた。たとえば、電子書籍の提供拡大や、図書館無料や有料の郵送サービス(貸出・返却)の実施、オンラインでの受付・レファレンスサービスの実施・利用指導などである。

このような中で私たちは、図書館の利用に格差が生じているのではないかという疑問をもった。日本の図書館は、国民の教育を受ける権利を保障するため無料で利用できることが図書館法第十七条によって規定されている。また、図書館員としての基本姿勢を示す指針「図書館の自由に関する宣言」には、「すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有」し「この権利を社会的に保障することに責任を負う機関」が公立図書館であると明示されている。一方で、コロナ禍における日本の電子書籍やオンラインサービスの拡充は、電子書籍を閲覧する端末やネット環境のない利用者、コンピュータスキルをもたない利用者にとっては情報の得にくい状況をもたらしてしまうのではないかと懸念される。もちろんこの懸念はそれらの環境が整えば払拭されるものであるが少なくとも移行期においてはこの問題が生じ得る。

この格差の解消の一つの突破口が郵送サービスに代表される非来館型サービスではないだろうか。そこで我々は、非来館型サービスに着目し、さらに、直接触れることでしか本領を発揮できない、つまり電子書籍では代替できない資料として布の絵本を取り上げることとした。本研究では、非来館型サービスとしてとらえた場合の布の絵本の提供状況を把握し、課題について考察することを目的とする

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