2011年秋に初めてビブリオバトルを開催してから10年。
毎年2回開催し、2021年8月で20回目の開催となりました。この10年、どんな本がどのように紹介されてきたか、参加したバトラーや運営に携わった図書館学生サポーターの感想も交えて振り返ります。
また、連動企画として、館内では歴代のビブリオバトルで紹介された本を展示しました。
これまでの10年をこれからの10年にどうつなげていくか。ぜひご覧ください。
ビブリオバトルとは
バトラーと呼ばれる参加者がそれぞれおすすめの本を紹介し、
観客はそれを聞いて、一番読んでみたくなった本に投票し、チャンプを選ぶゲーム。
大阪経済大学ではビブリオバトルを「図書館学生サポーター」が運営しています。
図書館学生サポーターとは
図書館をおもしろくしたい学生のボランティア。
図書館報の企画・編集からイベントの企画・運営、おススメ本の展示まで様々な場面で活動中。
ビブリオバトルを振り返る
★・・・チャンプ本 (※本の並び順は発表順)
▶ 第1回(2011/11/11)
初めてのビブリオバトル。2回生1名、3回生6名が参加。
【発表本一覧】
『砂漠』
伊坂幸太郎(著) [実業之日本社]
『池袋ウエストゲートパーク 1』
石田衣良(著) [文藝春秋]
『永遠の0』
百田尚樹(著) [講談社]
『大衆の反逆』
ホセ・オルテガ・イ・ガセット(著) [白水社]
★『人間機械論』
ド・ラ・メトリイ(著) [岩波書店]
『星を継ぐもの』
ジェイムズ・P.ホーガン(著) [東京創元社]
『現代語訳 学問のすすめ』
福澤諭吉(著) [筑摩書房]
▶ 第2回(2012/6/29)
『陽気なギャングが地球を回す』
伊坂幸太郎(著) [祥伝社]
★『絶望の国の幸福な若者たち』
古市憲寿(著) [講談社]
『新世界』
柳広司(著) [角川書店]
『犬神家の一族』
横溝正史(著) [角川書店]
『フリークス』
綾辻行人(著) [角川書店]
『ニュースの科学用語これで分かった!』
北海道大学CoSTEPサイエンスライターズ(著) [技術評論社]
▶ 第3回(2012/10/19)
大阪経済大学創立80周年を記念して、
【ノンフィクション部門】【フィクション部門】に分けて開催。
【ノンフィクション部門】
『心を整える。』
長谷部誠(著) [幻冬舎]
『人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。』
千田琢哉(著) [日本実業出版社]
★『復興の書店』
稲泉連(著) [小学館]
『街場の現代思想』
内田樹(著) [文藝春秋]
【フィクション部門】
『限界集落株式会社』
黒野伸一(著) [小学館]
『夏と花火と私の死体』
乙一(著) [集英社]
『吾輩は猫である』
夏目漱石(著) [岩波書店]
★『エイジ』
重松清(著) [新潮社]
『おおかみこどもの雨と雪』
細田守(著) [角川書店]
『死なない生徒殺人事件』
野崎まど(著) [アスキー・メディアワークス]
▶ 第4回(2013/6/28)
『ヤバい経済学』
スティーヴン・D・レヴィット(ほか著) [東洋経済新報社]
『わかりあえないことから』
平田オリザ(著) [講談社]
『ZOO』
乙一(著) [集英社]
『重力ピエロ』
伊坂幸太郎(著) [新潮社]
★『20代にしておきたい17のこと』
本田健(著) [大和書房]
▶ 第5回(2013/12/6)
『1秒の世界』
山本良一(責任編集) [ダイヤモンド社]
『スウィート・ヒアアフター』
よしもとばなな(著) [幻冬舎]
『陰陽師』
夢枕獏(著) [文藝春秋]
★『関ケ原』
司馬遼太郎(著) [文藝春秋]
『空中ブランコ』
奥田英朗(著) [文藝春秋]
『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い」と思わせなさい』
山田真哉(著) [小学館]
▶ 第6回(2014/6/27)
『キャリア教育のウソ』
児美川孝一郎(著) [筑摩書房]
『オーデュボンの祈り』
伊坂幸太郎(著) [新潮社]
『人はなぜ「いじめ」るのか』
山折哲雄 ほか(著) [シービーアール]
『ラストラン』
角野栄子(著) [KADOKAWA]
★『ビタミンF』
重松清(著) [新潮社]
▶ 第7回(2014/12/5)
★『秘密』
東野圭吾(著) [文藝春秋]
『家日和』
奥田英朗(著) [集英社]
『消えた巨人軍(ジャイアンツ)』
西村京太郎(著) [中央公論新社]
『神様のボート』
江国香織(著) [新潮社]
▶ 第8回(2015/6/19)
『きみの友だち』
重松清(著) [新潮社]
『どこにでもある場所とどこにもいないわたし』
村上龍(著) [文藝春秋]
『下町ロケット』
池井戸潤(著) [小学館]
★『大学生の学び・入門』
溝上慎一(著) [有斐閣]
▶ 第9回(2015/12/11)
「ショーゲキの一冊」をテーマに開催
『奇界遺産』
佐藤健寿(編著) [エクスナレッジ]
『いま、会いにゆきます』
市川拓司(著) [小学館]
『人気デパ地下“スイーツ”パッケージ図鑑』
日経デザイン(編) [日経BP社]
★『行動生態学』
デイビス, クレブス, ウェスト(著) [共立出版]
▶ 第10回(2016/6/17)
『英語で表現する大学生活』
盛香織(著) [海鳴社]
『Aではない君と』
薬丸岳(著) [講談社]
★『すごいメモ。』
小西利行(著) [かんき出版]
『ぼくらの祖国』
青山繁晴(著) [扶桑社]
『服従の心理』
スタンレー・ミルグラム(著) [河出書房新社]
▶ 第11回(2016/12/16)
『アクアリウムの人魚たち』
籘真千歳(著) [早川書房]
『翼を持つ少女』
山本弘(著) [東京創元社]
『カラフル』
森絵都(著) [文藝春秋]
★『七四(ナナヨン)』
神家正成(著) [宝島社]
『本屋さんのダイアナ』
柚木麻子(著) [新潮社]
▶ 第12回(2017/6/16)
『ツカむ!話術』
パトリック・ハーラン(著) [KADOKAWA]
『水鏡推理』
松岡圭祐(著) [講談社]
★『ヘンな論文』
サンキュータツオ(著) [KADOKAWA]
▶ 第13回(2017/12/8)
『虚数の情緒』
吉田武(著) [東海大学出版会]
『宮辻薬東宮』
宮部みゆき ほか(著) [講談社]
『ゼロの激震』
安生正(著) [宝島社]
★『恋歌』
朝井まかて(著) [講談社]
▶ 第14回(2018/6/22)
『メタ倫理学入門』
佐藤岳詩(著) [勁草書房]
『ビジョナリー・カンパニー』
ジェームズ・C.コリンズ ほか(著) [日経BP出版センター]
★『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
フィリップ・K・ディック(著) [早川書房]
▶ 第15回(2018/11/9)
全国大学ビブリオバトル2018 ~大阪決戦~ の地区予選として開催
★『夏と花火と私の死体』
乙一(著) [集英社]
『カフカはなぜ自殺しなかったのか』
頭木弘樹(著) [春秋社]
『日本のヤバい女の子』
はらだ有彩(著) [柏書房]
『青春を山に賭けて』
植村直己(著) [文藝春秋]
ビブリオバトル終了後に開いている座談会では、学部も学年も違う学生同士の交流が見られ、スタッフの目から見てもとても楽しそうです。
学生同士のつながりが広がるのもビブリオバトルの魅力の一つかもしれません。
第15回チャンプに選ばれた学生は、他大学で開催された地区決戦を突破し、全国大会へ出場しました。
全国大会では、準決勝を勝ち抜き、決勝戦へと進出。
惜しくもグランドチャンプになることはできませんでしたが、全国から集まった並みいる先鋭を前に、快進撃を見せてくれました!
▶ 第16回(2019/6/28)
全国大学ビブリオバトル2019 ~首都決戦~ の地区予選として開催
『大地の子』
山崎豊子(著) [文藝春秋]
『三日間の幸福』
三秋縋(著) [KADOKAWA]
『そして父になる』
是枝裕和(ほか著) [宝島社]
『レヴィットミクロ経済学 基礎編』
スティーヴン・レヴィット ほか(著) [東洋経済新報社]
★『夏の庭』
湯本香樹実(著) [新潮社]
『本日は、お日柄もよく』
原田マハ(著) [徳間書店]
▶ 第17回(2019/11/8)
全国大学ビブリオバトル2019 ~首都決戦~ の地区予選として開催
『すべては一杯のコーヒーから』
松田公太(著) [新潮社]
★『とりかへばや物語』
鈴木裕子(編) [角川学芸出版]
『妖怪アパートの幽雅な日常 1』
香月日輪(著) [講談社]
『小説家の作り方』
野崎まど(著) [KADOKAWA]
大阪経済大学から地区決戦の関西Aブロックに2名、関西Eブロックに1名が出場しました。
関西Aブロックの地区決戦を勝ち抜いた学生は、東京で行われた全国大会に出場。
惜しくも準決勝敗退となりましたが、全国からの猛者たちを相手に、大健闘でした。
ビブリオバトルに対する熱い思いに触れ、図書館スタッフにとっても印象深い思い出となりました。
▶ 第18回(2020/7/31)
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、オンライン(Microsoft Teams)で開催
『そして生活はつづく』
星野源(著) [文藝春秋]
『ルールが変わるとき』
丸山俊一 ほか(著) [東洋経済新報社]
『花の鎖』
湊かなえ(著) [文藝春秋]
『かがみの孤城』
辻村深月(著) [ポプラ社]
★『70年分の夏を君に捧ぐ』
桜井千姫(著) [スターツ出版]
『黒猫の小夜曲(セレナーデ)』
知念実希人(著) [光文社]
『インフェルノ』
ダン・ブラウン(著) [KADOKAWA]
例年、大阪経済大学図書館では対面形式でビブリオバトルを開催していましたが、2020年度以降は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、Microsoft Teamsを使用しオンラインで開催しました。
【イベント開催に向けて】
まずは図書館スタッフがTeamsの機能の学習するところからスタート。
オンラインならではのハウリング問題(同室内でスピーカー状態で通話を行うとハウリングが発生する)、ビブリオタイマーの共有方法、質問・投票の受付方法等、様々な課題がありました。
【課題に対しての対策】
・ハウリング問題
⇒スタッフ全員が別室に分かれてしまうとビブリオバトルの円滑な運営ができないので、各自ヘッドホンを用意し、十分に距の取れる広い部屋でソーシャルディスタンスを保ちながら行いました。
・ビブリオタイマー
⇒画面共有でタイマーを映してしまうと発表者が映らなくなる可能性があるので、タイマーを司会者のカメラに映しました。
・質問タイム、投票について
⇒質問タイムはTeams内のチャットを使用。投稿された質問を司会者が読み上げる方式にしました。
投票についてはOffice365のFormsを使用。ひとり一票に設定すると学外者は投票できないため、学外からの参加者には予め投票用メールアドレスを告知しました。
【実際に行ってみて感じたこと】
・最大9分割画面(2020年7月当時)の画面操作の難しさ
⇒参加者それぞれのパソコン画面はそれぞれ映っているものが異なるので、バトラーやタイマーの映像が各自の画面に映っているのか不安。
⇒Microsoft Teamsに「スポットライト機能(通話相手の画面を固定表示できる機能)」が追加されたことにより、発表中のバトラーの画面を固定できるようになった。
・バトラー、観客側の通信環境に差があり、音声が途切れるなどのトラブルが発生しやすい。
⇒オンライン用ルールとして「発表参加者側の通信環境が原因で発表・ディスカッションが中断された場合、原則、発表・ディスカッションのやり直しは行わない」ことにしました。
新型コロナウィルスの影響により全国大学ビブリオバトル2020の代替大会として大学ビブリオバトル・オンライン大会2020が開催されました。
大阪経済大学からは2名の学生が予選に出場し、うち1名は準決勝に進出しました。
それぞれ見事な戦いぶりでした!
▶ 第19回(2020/12/12)
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、オンライン(Microsoft Teams)で開催
『君は月夜に光り輝く』
佐野徹夜(著) [KADOKAWA]
『一夢庵風流記(隆慶一郎全集)』
隆慶一郎(著) [新潮社]
★『青の数学』
王城夕紀(著) [新潮社]
『なにかのご縁』
野崎まど(著) [アスキー・メディアワークス]
『ぼくらの七日間戦争』
宗田理(著) [KADOKAWA]
▶ 第20回(2021/8/6)
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、オンライン(Microsoft Teams)で開催
★『十字架』
重松清(著) [講談社]
『ボッコちゃん』
星新一(著) [新潮社]
『人は話し方が9割』
永松茂久(著) [すばる舎]
『魔性の子』
小野不由美(著) [新潮社]
ポスターセッション連動企画展示
ポスターセッション連動企画として、
これまで開催したビブリオバトルの発表本を展示しています。
六角形の閲覧机を使用し、第1回~第19回までの展示本を並べました。
【工夫した点・苦労した点】
・延べ106冊、すべての表紙が見えるように並べました。
・中央に展示ポスターを貼る三角柱を作成し、高低差をつけ立体的な展示にしました。
・チャンプ本はブックスタンドを使用してより目立つようにしました。
・バトラーのおすすめコメントも本と一緒に展示しました。
これまでの10年、これからの10年
これまでの10年のビブリオバトルで紹介された本は、延べ106冊。
どれも学生がビブリオバトルで発表するために選んだ、とっておきの1冊です。
当日まで準備に準備を重ねて出場するバトラーに順位をつけるのは酷だと思うこともありますが、 順位がつくからこそ生まれたドラマがたくさんありました。
初めての挑戦で思うように発表できなかったバトラーが、再チャレンジの前日、夜遅くまで図書館 で練習をしていることもありました。チャンプを目指して何度も挑戦し、4回生最後のビブリオバトルでも惜しくもチャンプを逃した学生が清々しい表情で「やりきったので悔いはありません。」と話してくれたこともありました。和歌の読み上げから始まる発表、芝居がかったポージングから始まる発表、それぞれがチャンプを目指して練ってきた発表の中には、一同、目が釘付けになるものもありました。
バトラー、観客、運営を担当する学生スタッフ、ビブリオバトルに参加した学生の多くが、 その経験を糧にしています。
本に興味を持つようになった、本を読むようになった、という本に関することだけではなく、 積極的になれるようになった、人前に出ることが苦手ではなくなった、人とのつながりができた、 など、ビブリオバトル参加の経験は学生を成長させるようです。
大阪経済大学は、11年後の2032年に創立100周年を迎えます。
これからも本学では学生が貴重な経験を得られるビブリオバトルを続けていきます。
100周年に開催するビブリオバトルでは何が起きるか、ご期待ください!