専門学校の情報ライブラリーで去年から開催しているSDGsコンテストの取り組みについて発表します!

第1回SDGsコンテスト

~なぜSDGsコンテストをライブラリー主動で開催するようになったのか~

 

【発端は、大量の印刷ミス用紙】

 大和学園 京都栄養医療専門学校情報ライブラリーには、学生が利用できるパソコンとプリンターが設置されています。

 2020年以降のコロナ禍で、GoogleClassroomを使った遠隔授業やホームルームが増え、教職員は今まで紙で配布していた資料やお知らせをClassroomやサイトにアップし、学生は学校用のGoogleアカウントでそこへアクセスし情報を得るという仕組みが出来ました。

 では、紙は減ったのでは???

 減りませんでした。
 ライブラリー設置のプリンターの需要はむしろ増加……Classroomやサイト上にアップされた資料を、紙で持っておきたい学生が、ライブラリーのプリンターで印刷をするようになったからです。

 

 印刷が増えると、印刷用紙はもちろん、プリンターのカートリッジの消費も増えます。何をするにもコスト削減の視点を持たなければ厳しい今、紙出しは必要最低限にしてよ~! というのが本音ですが、印刷自体を規制することは難しい。

 どんどん消費される印刷用紙と、それに伴い増えていく印刷ミス用紙(印刷ミスをしてしまった紙は、裏紙として再利用できるため、プリンター横に回収BOXを設置しています)を前に、ではどうしたら良いか? と考えました。

 そしてこう思ったのです。せめて、印刷ミスを減らしたい!!

 

【2つの課題】

①印刷用紙の消費を抑える

 印刷用紙の大量消費を少しでも抑えるために、印刷ミスの防止と節約の呼びかけが必要!

 もしかしたら印刷プレビューの確認をしていない学生がいるのでは?
 もしかしたら両面印刷やNアップ印刷の方法を知らない学生がいるのでは?

②出てしまった印刷ミス用紙の活用

 たまった印刷ミス用紙は、裏紙としてライブラリーのパソコン利用申請用紙などの備品や、利用者が自由に使えるメモ用紙として活用中…。

 裏紙をもっと活用しつつ、大量の印刷ミス用紙の存在を伝えられる方法はないだろうか? できればポップな何かで…。



【エコ印刷・印刷ミス防止を呼びかけるポスターを作成】

 ひとまずは小さなアクションを! ということで、プリンター周辺に適切な印刷を呼びかけるポスターを作成してみることにしました。

「どんなポスターが効果的?」「シンプルにする? 具体例を出す?」

 デザインを練るうちに思いつきました。

 コンテストを開催して、学生にポスターをデザインしてもらうのはどうだろう!?

 そこで自分が所属する教育支援部内に企画案を出したところ、賛同だけでなく予算までゲットできたのです。
 そして企画を具体的に始動させることに。

 

 

 

ライブラリー内でするのではなく、
学校全体のイベントとして開催する

 

【+αの効果が欲しい

 ライブラリーのイベントといえば? 
 月替わりの特集コーナー、年に1度程度開催される選書ツアー、12月に製本雑誌を積み上げて作るブックツリー、年末のリサイクルブックフェア。
 最近で言えば、自作アートを持ち寄るアート企画taiwaBUNPAKU、グループ校と協同で企画したライブラリーツアーとビブリオバトル。

 普段からライブラリーを利用している人は知っているかもしれないけれど、もっとたくさんの人が参加できるイベントはないか!? 
 ならば、このコンテストの範囲を学校全体にすれば良いのでは!

 


【コンテスト開催ポスターと応募要項の作成】

エコ印刷ポスター

 
 コンテストは「SDGsコンテスト」として定期的に開催することを目指そう! ということで、このコンテストを第1回目に位置付け「エコ印刷推奨ポスター作成コンテスト」と題しました。

 告知ポスターには、校内で大量の印刷用紙が消費されていることが一目で分かるようなイラストと、コンテストの概要をシンプルに表記。優秀作品には賞品が付くことを目立たせました。

※企画が年末で、多忙な学生が多かったことから、途中で期間延長を決定し、ポスターも修正をかけています。

 応募要項には、募集内容についての詳しい説明とシンプルな作品例を載せました。コンテスト内容に合致するべく、作品提出と投票はGoogleフォームでペーパーレスに。
(応募の間口を広げるため、作品提出は紙もOKとしましたが、実際は全ての応募がGoogleフォームでされました。)

 ポイントは参加賞として司書の特製メモ帳を付けたこと!
 ライブラリーの出た裏紙・ライブラリー受入図書のカバーや雑誌の付録ハガキ・製本用の糊を使って作った一枚ずつぺりぺり剥がせるタイプのブロックメモで、二つ目の課題である出てしまった印刷ミス用紙の活用をここにもってきました。

※実際に使用した応募要項がこちら

 

 

【作品エントリーフォームと投票フォーム】


 


 作品のエントリーフォームには、学生35作品、教職員5作品で、合計40作品が寄せられました。

 ある学科で、オンラインのグラフィックデザインソフトを使ってみようという授業があり、担当の教員が授業内でこのコンテストを取り上げてくれました。授業でポスターを作成し、エントリーしてくれた学生が多数いたことで、多くの作品が集まりました。
 また、ライブラリー活動の応援や、コンテストを盛り上げようという思いで参加してくれた教職員も複数名いました。
 

 賞品付きの優秀賞は学生の作品が対象なので、35作品から1人1回3作品まで投票できる投票フォームを作成しました。
 学生・教職員を合わせて64件の投票があり、得票数とアイディア・オリジナル性を加味し、受賞作を決定しました。

 フォーム内で感想や意見を募ったところ、

  • もっとこういうコンテストを開催してほしい
  • 個性豊かな作品が多くて面白かった
  • 環境のことを考えるきっかけになる
  • ペーパーレスに繋がる言葉が響いてくる

 といった声が届きました。
 コンテストをし、投票を呼びかけることで様々な視点で作られたポスターが集まり、複数の目で見ることができたのは大きな成果だと感じました。

  

【結果発表ポスターの作成】

 結果発表の際には、優秀賞だけでなく寄せられた作品すべてを並べたポスターを作成しました。

エコ印刷結果発表ポスター

 多くの作品応募があったことが一目で分かるようにし、一人でも多くの人の目にとまれ~! という願いからです。

 優秀賞に選ばれたポスターはラミネート加工をし、ライブラリーだけでなく校内にある学生が利用できるプリンター周りに掲示しました。

 

 

 

第2回SDGsコンテスト

~校内の声を反映し、校内で提供できる景品を~

 


【教員たちからのリクエスト】

「実習室に備え付けのペーパータオルの消費量を減らしたい。学生の目に留まるような遊び心のあるキャッチコピーを募集してもらえないだろうか」

 調理実習系の教員からいただいたリクエストです。
 SDGsコンテストをしようと決めた際、このコンテスト自体が持続可能なものであるようにと意図していたため、今年度はどんなテーマでコンテストをしようかと考えていた頃でした。

 依頼内容を詳しく聞いてみたところ……

  • 調理実習室にペーパータオルを設置しているが消費が激しい
  • 適切な使用を呼びかけたい
  • 「〇〇禁止!」ではなく、遊び心のあるキャッチコピーをテプラで貼り付けて注意を促したい
  • キャッチコピーは学生から募集したい

 やりましょう! ということで動き始めたものの、それだと調理実習室を使用しない医療学科の学生が対象外になってしまうことに気付きました。
 何かないか探したところ、衛生委員会で校内のトイレの使用について課題を抱えていることが分かりました。これもまた、自発的な心がけで適切な利用を促したいことでした。

 

 では今年はキャッチコピーコンテストを開催しよう!

 


 

【2つのコンテスト】

①ペーパータオル編

 実習室に備えているペーパータオルBOXにキャッチコピーを貼付することでエコ利用を促す。
 現場の教員が選定し、テプラでシール加工、BOXに貼付する。

②みんなのトイレ編

 校内のトイレにキャッチコピーを掲示し、トイレが衛生的に利用されるよう促す。
 コンテスト対象とする学科教員・教育支援部で選定、ポスターに加工、各トイレに貼付する。

 

 

【コンテスト開催ポスターと応募要項の作成】

 2種のキャッチコピーを募集するため、ポスターも2種類作成しました。

キャッチコピーコンテストポスター

※またしても途中で期間延長をしたため、ポスターも修正をかけています

 個人的に今回のコンテストのポイントは ”遊び心”だなと思い、ポスターもどこかゆるさの感じられるものにしました。
 そして、もうひとつのポイントが賞品です。

 

 賞品の「ハーモニーチケット」について。

 京都栄養医療専門学校には、「ザ・ハーモニーカフェ」という、栄養士科・管理栄養士科の学生が献立作成・大量調理を学ぶ授業で作成したランチメニューが安価で提供される食堂があります。その食券が「ハーモニーチケット」です。
 通常、学生や教職員は券売機で食券を購入しますが、そのチケット2枚をコンテストの賞品に設定しました。受賞者はハーモニーランチを食べられるし、ランチを提供する授業では食券が売れる。ウィンウィンです!

 前年の効果なのか、1年間で山盛りの裏紙が発生することがなかったため、参加賞の特製メモ帳はなしですが、応募要項は、募集する内容と対象の学科が分かりやすいように作成しました。
 今回も作品提出と投票はGoogleフォームでペーパーレスに。前回、紙での提出が無かったためフォームのみの対応です。

※実際に使用した応募要項がこちら

 

 

【作品エントリーフォームとチケット申し込みフォーム】


 

 作品のエントリーフォームには、合計33作品が寄せられました。
 今回のコンテストでも、あるクラスの授業内で取り上げてもらうことができました。ライブラリーのイベントと授業との連携。これもウィンウィンです!

 「遊びごころのある」という文言を加えた意図を多くの学生が理解してくれ、個性的でクスっと笑えるようなキャッチコピーがたくさん届きました。

 フォーム内で、作品に込めたメッセージ、今後やって欲しいコンテストを聞きました。それぞれの作品に込めた思いが伝わって、大変面白かったです。
「ペータータオルの消費が気になっていたので参加した」という声や、「フードロス削減のためのコンテストをしては」という意見もありました。


 
集まったキャッチコピーはテーマごとに分け、担当の教職員で採用作品を選定しました。

 受賞者には、フォームでチケットを希望する日を2日分選んでもらい、SDGsコンテスト用に取っていた予算からチケットを購入後、「参加ありがとうございました!」のお礼と共にライブラリーにて贈呈しました。

 

【採用キャッチコピー】

①ペーパータオル編

キャッチコピー 作品に込めた思いや、今後やって欲しいSDGsコンテスト

①その1枚がサステナブルの第一歩!令和の流行は#SDGS
②『ゴミ』じゃない!未来のデザインはあなたの手に☆
➂『もったいない』~その心得と積み重ね~
④つかう責任!つくる責任!その1枚がSDGS☆

SDGsが言われ始めた頃から取り組みだしているのが幼稚園などの子ども達です!SDGsの歌も子ども達は歌える中、大人達も少しでも取り組むべきだと思いメッセージを応募しました。 学校でゴミの分別は書かれていても多分してない人がほとんどです。分別したくなるような取り組みはあってもいいと思いました。

あんたはん実習室でヤギでも飼ってはんの? ヤギは紙が好きというイメージがあり、紙をいっぱい食べるヤギとペーパータオルを無駄使いする人を結びつけました。 「実習室でヤギを飼っているわけでは無いんだからヤギが紙をいっぱい食べるようにように無駄使いしないように!!」という気持ちを込めて遊びごころのありクスッと笑えるキャッチコピーを考えました。 また、京都にある専門学校なので京都弁を使って京都らしさを感じられるようにしました。
一枚一流、 二枚二流。 向上心をくすぐるようなキャッチコピーにしました。
ちょいお待ち ほんとに必要? その枚数 昔から物や手を拭くときにペーパーをバサバサとる人をみてモヤモヤしていました。 SDGs 12個目の「つくる責任つかう責任」に食材をはじめ、ゴミの排出量を減らす目標が掲げられています。資源を必要な分だけ使うことへのきっかけになればいいな〜と思い考えました!
その汚れ、台拭きで拭けばええんやない? 私が実際に感じていたことをキャッチコピーにしました。 ちょっとした汚れを拭き取る際に、台拭きを使わずにペーパータオルを多量に使用する人が多く、実習台がペーパータオルの山になっていることが多々ありました。 なので、タオルを使用することを呼びかけ、ペーパータオル削減を呼びかけたいと思い、このキャッチコピーにしました。
気をつけて 大事な資源の 神(紙)隠し 意識せずペーパータオルを使うとまるで神隠しにあったようにすぐペーパータオルがなくなっていく現象を一句にしました。
ペーパータオル、半分にオル、1枚でフク! ペーパータオルを折ることで1枚でもしっかり拭くことができるのでそんな使い方をしてほしいという思いを込めました。
**「ペーパータオルもエコの一環」**
1枚ずつでエコライフ(^з^)-☆
わかりやすくしました
要るときに、要る分だけを、取りなはれ  
未来の地球はその1枚で変わる 以前からペーパータオルはもったいないなと思ってました。ペーパータオルホルダーも使いづらく無駄遣いの元になってると思います。 調理実習時に鍋やボールについた米や食材を綺麗に取らず洗ってしまう光景が先生にもみられます。そう言ったこともフードロスに繋がると思われるのでフードロス削減のコンテストがあればいいと思います。

 

②みんなのトイレ編

キャッチコピー 作品に込めた思いや、今後やって欲しいSDGsコンテスト
きれいに使ったらべっぴんさんになれるんやで トイレの神様の歌詞から
その行動みんなの前でできますか? 自分だけだとまあいっかとなってしまうこともあるかもしれないから
何度も行きたいあのトイレ 何度も行きたくなるくらいに綺麗なトイレ
トイレを美肌に。 ずっと白くて綺麗なトイレのままでいてほしいから。

グッバイ宣言☆ 汚トイレ!

簡単でみんなの頭に残りそうなキャッチコピーを考えました。汚いトイレにならないようにするためにも、汚いトイレとグッバイする人が1人でも多くいて欲しいとおもってこのキャッチコピーにしました。
トイレきれいに君の心もきれいスッキリ💫 トイレを綺麗に使うことで、自分自身の心も綺麗すっきりになるから。
ほんの少しの気遣いが 多くの人の快適に。 トイレを使う際に、色んなことを気をつけたり 努めたりするよりも、より多くの人 一人一人が少しずつでも気遣うことによってトイレをキレイに保つことが出来ると考えたから。

 

 このキャッチコピー一覧は校内の教員はもちろん、学園の教職員にも発表しました。「ライブラリー発で何か面白いことをやっているな」「本を借りるだけの場所じゃないんだな」と思っていただきたいからです。
「何か」やってみたいことを思いついた時、職場環境や学生生活を良くする「何か」を始めたい時、ライブラリーにその企画を持って行ったらいいかも? と思ってもらえたら嬉しいからです。

 

 

 

成果物を校内にちりばめる

~コンテストの狙いは達成したのか?~


【校内掲示の様子】

エコ印刷写真1 エコ印刷写真2

みんなのトイレ写真 トイレポスター

ペーパータオル1 ペーパータオル2

 


【エコ&クリーンの手ごたえ】

 今回の発表準備にあたり、ライブラリーにキャッチコピー企画のリクエストをくれた教員に声をかけてみました。

「効果は出ていますか?」

「正直、まだそんなに……」

 でも、「あら…」と気落ちするのはまだ早いのです。ペーパータオルに関しては、今年の後にキャッチコピーを貼ったばかり。おトイレ編も然り。

「これは何?」「こんな所にポスターが…」「あ、前に見たのと違うポスター」

 そんな風にまずは目をとめて見ていただいて、効果はじわじわと出てくることを祈りたいと思います。

 

 幸い、今年度の初めにポスターを貼付したエコ印刷の方は効果があるようです!

「ライブラリーに設置しているプリンターのトナー交換の頻度が、二分の一から三分の一程度に減りました」

 とのこと! めざましい効果ではありませんか?

 エコ印刷呼びかけポスターだけの効果ではないと思います。ポスターを見て印刷方法を心がけてくれた人、コンテストに参加して意識が変わった人、コンテスト開催を知って授業等で呼びかけてくれた教員もいるかもしれません。

 効果は、じわじわ

 これを心に刻んで、「SDGsコンテスト」を続けていきたいと思います!




             大和学園 京都栄養医療専門学校 情報ライブラリー司書 西山 悠子

 

 

タグ(選択式にないものをフリー記述)
イベントの有無
無し
担当者
西山 悠子
電話
0758728500
メールアドレス
yuko.nishiyama@taiwa.ac.jp