コロナ禍での新たな学びの提供への挑戦!!!
1 図書館の新しい取り組みの経緯
★新図書館の建設
大正大学の新図書館は、2020年8月にオープンしました。大学として総合学修支援体制の構築計画があり、1階にラーニングコモンズ、2~4階を図書館とし学生が集い学ぶ場として計画、建設されました。折しものコロナ禍の最中であり、利用に制限がかかる状況となりました。
★コロナ禍での大学の対応
2020年度は全国的に大学がオンライン授業を行うなか、本学も同じく感染予防のためのオンライン授業の体制を取りました。2021年度は対面とオンライン併用のハイブリッド授業となりました。しかし、学生の様々な体験の機会が制限される状況は続きました。 なかなか大学まで足を運ぶ学生も少ない中、大正大学附属図書館では、このコロナ禍も大学図書館のあり方を変える一つのチャンスと捉え、新しい学びの機会を提供し、新たな発想で学修支援を実施させました。
2 学生の新しい学びに向けた取り組み
★図書館の独自講座「学びのコミュニティ」
そもそも新図書館のある8号館は総合学修支援施設として構想され、総合学修支援機構DAC(ダイバーシティ・エージェンシー・コミュニティ)が1階ラーニングコモンズに新しく配置されました。主に授業の基礎科目の学修支援を担当し、チューターによる学生へのサポートを行う部署です。図書館はこのDACと連携を図り、新しい学修支援として「学びのコミュニティ」と言う授業とは別の講座開催の検討を進めました。 この「学びのコミュニティ」は、本学の中期マスタープランである「自ら学び続ける人を育てる」、また「主体的な学びができる」ことを実現するため、実施したものでもあります。
<「学びのコミュニティ」第1回目の講座>
2020年10月、「学びのコミュニティ」1回目として、オンラインでの図書館見学ツアー(オンライン座談会付)を開催しました。 新たな学びの場になる図書館を実際に見ることができない学生も多い状態でした。思うように大学に来ることができない学生に、新しい図書館に触れる機会、またコロナ禍で思うように友達とコミュニケーションがとれない学生が交流できる場となるように内容を組みたてました。
<第1回目の講座受講者の反応は・・・>
参加者の多くから「参加してよかった」という感想をもらうことができました。 遠方に住んでいる学生からは「大学に入学したがまだ1回も図書館を見たことがなかったので参加してよかった」また「座談会で同級生の顔を見ることができた」などの感想がでました。
<「学びのコミュニティ」の発展>
2021年度は大学の授業も段階を経てハイブリット対応になり、2022年度は対面授業に戻りました。現在は多くの学生が学内に戻り、賑わいを見せています。「学びのコミュニティ」は実施から丸2年が経過した現在、より学生のニーズにあった講座内容を検討しつつ展開しています。学科の教員による講座は、学生が所属学科関係なく自分の気になる講座に気軽に参加できるため、好評を得ています。
【2021年、2022年に開講した講座の一部をご紹介! !】
① 2021年開講講座
竹取物語の解読に挑戦!~くずし字の世界に触れよう
昔の人が筆で書いた、あの「ずるずるした図形」を読めたら楽しいと思いませんか?くずし字のヒミツをわかりやすくお伝えします。大正大学所蔵の『竹取物語』を、一緒に解読してみましょう!(※1)
和書さまざま
古典籍に難しいイメージを持っていませんか?本講座では、さまざまな古典籍の種類を紹介しながら 解説をします。古典籍を鑑賞しながら歴史や成立ちに 触れてみましょう!学芸員志望の学生は、ぜひご参加ください。 (※1)
生者と死者はどう生きるのか ~宮澤賢治に学ぶデクノボーの 生き方~
コロナ禍で、私たちの生活は180度変わり、感染拡大の中、自宅療養者の死が報道されながらも実感の伴わない日常が 過ぎていきました。生きるとは、いのちとは何か。 宮沢賢治の作品を通じて、「より善く生きる」ためのヒントを 一緒に探してみませんか。(※1)
② 2022年開講講座
ZENKOJI History
創建は飛鳥時代。 まだ仏教に宗派ができる前に開山され誰でもお参りができる 門戸が開かれた寺として古くから多くの人々の信仰を集めました。江戸時代には一生に一度でも善光寺をお参りすれば 極楽往生が叶うといわれていた一方、地獄では亡者が減り、 地獄の危機を救うべくかの大泥棒に白羽の矢がたった……。 歴史学科の先生に善光寺の歴史・伝説・落語まで様々な視点 から語っていただきます。7年に1度、僧侶であっても見てはならない御本尊の分身である『前立本尊』の御開帳に合わせた特別トークイベントを開催します。 (※1)
日本人にとって「みたま」「魂」「霊」とは?
第12回鴨台盆踊りの開催に合わせて、「学びのコミュニティ」にて特別講座を開催します!「鴨台盆踊り」は東日本大震災の 犠牲者を追悼し、復興を願うために開催され、今年で12回目に なります。もともと「盆踊り」は、亡くなった人の「みたま」 を招いて一緒に踊るという意味があったようです。本講座では 「みたま」や「お盆」、「盆踊り」について、日本人の思いや仏教の観点からそのルーツを考えます。 (※1)
夜の図書館講座 近世怪異文学の系譜~“恐怖”はどこからやってくる?~
怖い話や不思議な話はお好きですか?夜の図書館で、日常とかけ離れた非日常の怪異文学の世界に足を踏み入れてみませんか?江戸時代には『伽婢子(おとぎぼうこ)』や 『雨月物語』など、さまざまな怪談・奇談が小説化されました。そうした怪異文学の系譜は現代にも引き継がれています。本講座では民衆に親しまれた江戸時代の怪異文学を読み解きつつ、そこに描かれた“恐怖”の淵源を探っていきます。怖い話や不思議な話がお好きな人も、そうでない人も、ぜひご一緒に。(※1)
ジャニーズから考えるエンターテインメント
「ジャニーズ」をテーマに、日本のエンターテインメントについて語る講座を開講します。ジャニーズが日本のエンターテインメントに与えた影響、エンターテインメント産業やその他の視点からも考えます。講座には本学学生も登壇し、その魅力について語ります! (※1)
(※1)講座実施時本学学生に向けた講座案内内容です
③ 学びのコミュニティ講座実施案内ポスター(一部)
【参加学生の感想】
怪異文学に実際に触れられて楽しかったです。かたわ車の話が印象的でした。主語をぼかすのが面白いなと思いました。
全く知識がない素人でも楽しめる内容だったので、参加してみて良かったです。定期的に参加したいなと思いました。
夜の図書館講座ということで、なんだかワクワクする内容だったので参加したのですが、非常に面白かったのでまた参加したいと思います。
2022年開講講座一覧(11月講座は開講予定講座)
4月 |
・【2022年度新入生対象】図書館スタッフ、学修支援チューターとの座談会!・命を考えるVol.2 ポストコロナ社会と支え合い・扶け合い ―宮沢賢治に学ぶ「利他」― |
5月 |
・本の森から新たな発見を! |
6月 |
・就職活動に役立つ!? 図書館の活用法・日本人にとって「みたま」「魂」「霊」とは?・ZENKOJI History |
7月 |
・データベースの使い方(データベースの種類・調べ方)・疑問解決!参考文献リスト作成の流儀・ジャニーズから考えるエンターテインメント・夜の図書館講座 近世怪異文学の系譜 ~“恐怖”はどこからやってくる?~ |
9月 |
・コミュ力UP!~あなたに合った会話の仕方を見つけてみませんか~ |
10月 |
・みんなどうしてる?上手な時間の使い方・Google Earthで行こう!巨大古墳と戦国城下町・調べるのは本当にWEBだけで良いの?? 様々なツールを用いた情報検索講座 |
11 月 |
・萩原朔太郎のオノマトペ・コミュ力UP!~あなたに合った会話の仕方を見つけてみませんか~・大河ドラマからみる権力闘争の歴史 ~鎌倉殿の13人を題材に~・オレンジリボンに関する講座 |
<SDGsリレー講座>
2021年9月21日(火)から10月1日(金)をGlobal Goals Weekと位置づけ、「SDGs×自分」をメインテーマとしたリレー講座を対面&オンラインで開講しました。 「行動の10年(Decade of Action)」を迎えた今、SDGsの諸課題を解決するためには、様々な学問の領域を超え、知識を集約しながら連携して取り組む必要があります。講座を通じて、私たち一人ひとりがSDGsをどのように自分事としてとらえ、行動したら良いかを参加者とともに考える機会として開講しました。
「SDGsリレー講座」は図書館の入る総合学修支援施設の1階フロア「本の街」で開講しました。オープンスペースで行い、通りかかった学生にも興味を持ってもらえるようにしました。
図書館内にSDGsをテーマに資料を配架し、学生が考えをめぐらせるきっかけを創出しました。
SDGsリレー講座の動画公開中!!
※講座内容の関係上、リレー講座の3、5、6回目の講座のみ公開しております。
※講演者の所属は実施当時の情報を掲載しております。
第 3 回 持続可能な社会を創造する-ESD による人材育成-
〈開講日時〉令和 3 年 9 月 24 日(金) 17 時~18 時 40 分
・持続可能な社会を築くための教育の役割
高橋 正弘(社会共生学部長)
・学校プールを活用した生物多様性教育の実践
桝野 光路(公共政策学科チューター)
・トークセッション
高橋 正弘 × 桝野 光路 × 滝沢 和彦(人間学部教授/教職支援センター長)
第 5 回 住み続けられるまちづくり-グリーンインフラとしての都市農業-
〈開講日時〉令和 3 年 9 月 29 日(水) 17 時~18 時 40 分
・「都市と農業」
古田 尚也(社会共生学部教授)
・『巣鴨芋人』プロジェクト
佐藤 琢磨(魅力化推進部、すがもプロジェクト農園班)
・座・ガモールファームの実践
山本 空洋(としまグリーンインフラ研究会)
・トークセッション
古田 尚也× 佐藤 琢磨× 山本 空洋
第 6 回 全ての人が輝ける世界をつくる-多様性ある社会を実現するために-
〈開講日時〉令和 3 年 9 月 30 日(木) 17 時~18 時 50 分
・企業における女性活躍の現状と課題
尾白 克子(総合学修支援機構 DAC 専任講師)
・ラップアップ
稲井 達也(附属図書館長、人間学部教授)
3 ガイダンス・利用支援への新たな取り組み
2022年度、全1年生(約1,300人)に対しオンラインを利用し、同じ授業内で図書館のガイダンスを実施しました。
2020年度コロナ禍前の1年生に向けたガイダンスは、各クラスに直接赴き、対面で行うものでしたが、感染症拡大後は、大学では密をさけるためガイダンスの録画配信が推奨されました。2022年度は授業と連携し、同じ時間帯の1年生の授業を全てオンラインでつなぎ、その中の一つのクラスに職員が出向いてガイダンスを行い、それを他クラスでも同時に視聴する形で行いました。 以前の各クラスに赴くガイダンスは職員の対応回数も多く、各クラスとの調整も非常に時間がかかるものでした。今回はそれが解消され、同じガイダンス内容を1年生全員に提供することが出来ました。教員にも好評で、別の授業で論文検索のガイダンスも同様に行いました。図書館ではこのほか、授業のゼミ単位で論文検索を中心にしたガイダンスを別途受け付けています。1年生への対応の時間を縮小することにより、その分ゼミ単位のガイダンスに多く対応することができ、ゼミ単位ガイダンス実施数も大きく伸びました。
またコロナ禍以降、学生の課外活動の継続は厳しい状況となりました。集って活動することが制限され、新年度に新入生へアピールする場も少なくなりました。図書館では、学生同士の出会いと図書館に入ってもらうきっかけとなる企画として、図書館の中のアクティブなエリアで課外活動紹介のイベントを開催しました。
図書館内のガイダンススペースで「図書館活用ガイダンス」を受講中の学生。各自、PCやスマートフォンを使用し、実際に検索を行っています。
館内に二次元バーコードを設置し、資料の探し方などを動画で学ぶことができます。
2022年5月には図書館の中を会場にして、学生同士の出会いと図書館に入ってもらうきっかけとなる企画、課外活動紹介イベントを開催しました。
4 高大接続の取り組み
★赤羽北桜高等学校との取り組み
大正大学と都立赤羽北桜高校は、2020年10月に「教育・カリキュラム連携に関する協定」を締結しました。この協定は赤羽北桜高校の生徒に対し、大正大学を活用した事業をおこなうことで専門性を高め、大学進学への目的を明確にしてもらうとともに、大学進学後の自己の在り方や生き方に関する意識を高めることを目的としています。また、大学と都立高校などの教育及び研究の充実を図ります。発展を図 同校の1年生に対し「総合的な探究の時間」の一環として探究学習を始めるにあたり、その動機づけとして講義依頼を受け、2021年はオンラインでの実施、2022年には対面で実施しました。
これまで小学・中学生を対象とした「職場体験」を受け入れたことはありましたが、高校生の受入はありませんでした。令和4(2022)年度より、本学との提携校をはじめとする高校からのインターンシップを受け入れています。職員も図書館や教育に興味のある生徒に対し、業務体験のほか企画検討をするなど、だた体験するだけではなく主体的に行動する時間になるように内容を検討しました。
令和4(2022)年度は館長の「本の豊かな世界へ飛び出そう―図書館とメディアにつきあうためのヒント―」というテーマでの講義のあと、職員による本の探し方のガイダンスをおこないました。ガイダンス後は図書館内で班ごとのワークショップを行いました。
5 コロナ禍終息後を見通した外部機関との取り組み
大正大学は西巣鴨にキャンパスがある大学ですが 「すがもオールキャンパス」として地域に開かれた大学を目指しています。 2022年秋からは今後の地域開放も視野に入れ、外部機関との共同開催事業にも積極的に参画しています。
にぎやかな図書館祭(フェス)
豊島区政90周年を記念して、豊島区立図書館と大正大学附属図書館の共同企画 「にぎやかな図書館祭(フェス)」を11月3日~5日の3日間開催しました。当日は好天にも恵まれ、多くの、また幅広い年齢層の方にお越しいただきました。この3年間コロナ禍で実現していなかった、地域の方々との交流の場となりました。館内では、主に4つのイベントをおこないました。
【おはなし会】
豊島区立図書館の司書が対象者別に読み聞かせを行いました。
【図書館見学ツアー】
30分間で館内を案内しました。児童向けには図書館探検イベントを企画し、館内は多くの子ども達で賑わいました。
【ワークショップ】ブックカバー作り
学生と子ども達で、紙袋や包装紙を再利用したブックカバーを作りました。
【座談会】にぎやかな図書館フォーラム
最終日には、今回の目玉イベントとして座談会「にぎやかな図書館フォーラム」を対面とオンラインを併用して開催しました。大学図書館・学校図書館・公共図書館・出版社と立場の異なる登壇者が、それぞれの課題や取り組みを紹介、意見交換する貴重な場となりました。会場からは質問も多く出て、今回のような座談会またテーマ「本を通じて“人”がつながる」に、多く関心が寄せられていることが感じられました。
開催日:11月5日(土)14:00~16:00
会 場:8号館4階 礼拝ホール/オンライン同時配信
登壇者:
・公益社団法人全国学校図書館協議会・理事長 設楽 敬一 氏
・株式会社河出書房新社・常務取締役、YA出版会・相談役 岡垣 重男 氏
・豊島区立中央図書館・館長 倉本 彩子 氏
・大正大学附属図書館・館長 /人間学部教育人間学科・教授 稲井 達也
★水と緑と詩のまち前橋文学館との同時期イベント「萩原朔太郎大全2022」への参加 「萩原朔太郎~周辺の人々を通して~」
10月3日(月)から12月23日(金)の期間、「萩原朔太郎~周囲の人々を通して~」と題して、朔太郎とゆかりのある人物に焦点を当てた企画展を開催しており、現在多くの方に来館いただいています。
11月16日(水)には、ゲストに萩原朔太郎のご令孫である萩原朔美氏、詩人の吉増剛造氏のお二人をお迎えし、特別イベントを開催しました。当日の様子をご紹介します!
本学学長 髙橋秀裕の開会のご挨拶でスタートしました。
詩人の吉増剛造氏にテーマ『天ノ河原』でご講演をいただきました。萩原朔太郎の詩のお話のほか、詩『古代天文台』を朗読いただきました。来場者からも多くの質問が寄せられ、回答いただきました。
吉増剛造氏による講演の後は、萩原朔美氏×榎本了壱×稲井達也による鼎談(ていだん)を開催しました。テーマは『詩人の言葉、詩人の人生』です。
本学図書館長の稲井達也による進行のもと、萩原朔美氏から今回の「萩原朔太郎大全2022」開催の経緯や思いについて、また本学表現学部長の榎本了壱からは萩原朔美氏との「縁」についてお話いただきました。鼎談が進むにつれ、朔太郎の詩について、また現代における朔太郎の作品の捉え方など、朔太郎とその作品を深くさぐる話が展開されました。
鼎談と質疑応答の後、萩原朔美氏による詩の朗読が行われました。朗読をいただいた詩は萩原朔太郎の詩、『天景』及び『猫』です。萩原朔美氏が朗読する詩は文字を読むだけでなく、聞いている方の頭の中に自然に映像が思い浮かぶような素敵な朗読でした。
今回の特別イベントは予定していた定員を上回る数のお申込をいただき、会場は多くの方でに賑わいました。
6 今後の取り組み
今後も学びのコミュニティを継続して行うにあたり、学生と地域住民が共に学ぶ環境づくりを進めていきます。また区立図書館や外部機関との連携をはかり、学生へ常に新しい学びの機会が提供できるように検討する計画です。
大正大学附属図書館は、学生、教職員、地域住民、卒業生が集い合い、学び合う`サードプレイス`となることを目指し、今後も取り組みを進めて参ります。
7 動画の紹介
★図書館紹介
2020年、大正大学の新たな図書館を学生に紹介するために制作。
新型コロナウイルス感染症拡大防止から自由な入構ができない中、少しでも
図書館を知ってもらいたいという思いから生まれた動画です。