私たちは東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門U-PARL(ゆーぱーる)です。
U-PARLは、2014年4月に公益財団法人上廣倫理財団の寄付を受けて設置された、東京大学の図書館に所属する研究組織です。
U-PARLではアジアに関する研究と、アジア研究図書館の支援を行っています。
今回の図書館総合展ではU-PARLの4つのミッションに沿った活動についてご紹介します。
協働型アジア研究拠点の形成
私たちは図書館にある研究組織で、メインの活動としてアジアに関わる多様なテーマの研究を行っています。U-PARLの構成員一人ひとりの研究力を土台として、東京大学や学外の研究者とも協力し、広域な学術ネットワークを構築することが大切なミッションです。
協働型アジア研究(2022~2023)
現在は、U-PARLの特任教員・研究員を中心に、7つの共同研究プロジェクトが進行中です。
・アジア情報資源の組織化に関する研究:目録作成ワークショップとマニュアル作成
・東京大学蔵『水滸伝』諸版本デジタルデータの整備およびこれを用いた研究
・近現代東南アジアにおける出版に関する研究:ベトナムとタイを中心に
・南アジア関連資料のデジタル画像化とテキスト化に関する研究
・東京大学所蔵アジア研究情報資源の組織化と公開に関する研究
・フンの時代における中央ユーラシア〜南アジアの歴史と社会
研究図書館の機能開拓研究
図書館のデジタルリソースを充実させるため、東京大学の各図書館・図書室に所蔵されているアジア関連の資料を高精細画像で撮影し、IIIF形式で公開しています。 資料の選定や解説を作る作業はU-PARLの研究員が担当し、撮影自体は専門の業者にお願いしています。
これまで、中国の法帖(鑑賞、学習用に書跡を集めたもの)、『水滸伝』の諸版本、朝鮮本(19世紀以前の朝鮮書籍)、古代エジプト文字の書体学に関する資料などが公開されています。
これらの資料は、「東京大学アジア研究図書館デジタルコレクション」のページで自由に閲覧でき、条件を満たせばどなたでも印刷・複製や二次利用が可能です。
人材育成と社会還元
U-PARLでは図書館やアジアに関するセミナーやワークショップを開催しています。また、スタッフが執筆した記事や、教員へのインタビューなど、様々なテーマのコラムも発信しています。
セミナー・ワークショップ
これからも、学外の方にもご参加頂けるセミナーやワークショップを計画していきます。イベントや新着コラムの情報は、ぜひU-PARLの公式ウェブサイトや公式ツイッターからご確認ください。
オンラインデータベース
U-PARLではアジアの研究に役立つオンラインデータベースの導入にも取り組んでいます。東京大学の学内向けになりますが、学生や教職員に幅広く活用されています。
Bibliography of Asian Studies / Encyclopaedia of Islam Online / Encyclopedia of Women & Islamic Cultures Online / Myanmar Book Centre (MBC) / The Times of India / 申報 / 人民日報 / 中華再造善本 / 中華経典古籍庫 / 中国基本古籍庫
アジア研究図書館の構築支援
2020年10月に、東京大学本郷キャンパスにある総合図書館の4階にアジア研究図書館が開館しました。
U-PARLではアジア研究図書館の開館にむけた支援を行なってきました。例えば、蔵書構築や本を並べるための分類表の策定やフロアプランの検討などです。
アジア研究図書館の分類法については、2020年4月に『図書館がつなぐアジアの知:分類法から考える』(東京大学出版会)を出版しました。
現在は、選書や新規資料の購入支援、東京大学内に所蔵されているアジアの各種資料の調査などを行っています。
今年9月には、国際学会「第21届中国古典小说戏曲文献暨数字化国际研讨会(第21回中国古典小説・戯曲文献及びそのデジタル化国際学会)」をオンラインで主催しました。
今後もU-PARLでは、こうした活動を通じて、アジア研究図書館、ひいてはアジア研究全体の発展に貢献していきたいと考えています。